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  クーリングオフ ・ 内容証明郵便

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消費者契約法

2001年 4月から、消費者契約法が施行されました。現代は複雑な契約社会です。私たち消費者が、毎日の生活の中で事業者と結ぶ様々な契約は、はたして全て、お互いに対等な契約と言えるのでしょうか? 事業者はその道のプロなのですから、当然のこと、豊富で専門的な知識をもっています。これに対して私たち消費者は、内容を充分に理解した上で契約を結んでいるのでしょうか?
そんなとき消費者契約法は被害者である消費者を守ってくれます!

この法律は、消費者と事業者との間のあらゆる契約に適用されます。 (ただし、労働契約は除きます。)

 

契約の 「取消」 が認められる事例  「①~⑤に該当する契約は取り消すことができます!」

① 不実告知 ・・・ 消費者に嘘の説明をする。
② 不利益事実の不告知 ・・・ 不都合な事実を故意に説明しない。
③ 不退去 ・・・ 訪問販売で、契約するまでひつこく居座る 。
④ 監禁・退去妨害 ・・・ 事業所に呼びつけて、契約するまで帰さない。
⑤ 断定的判断 ・・・ 「必ず値上がりします」などと説明する。

具体的な例
・ 「仕事を必ず紹介します。最低月うん万円の収入になります」と約束しながら紹介せず、高額のパソコンを売りつける。
・ インターネットの接続業者に「加入すると無料でパソコンがもらえる」と説明されたが、「3年未満で解約すると違約金を支払わなければならない」ことは教えられなかった。

取消ができるのは誤認に気がついた時、または困惑行為の時から6ヶ月契約の時から5年以内
 です。

契約が 「無効」 と規定される条項 「①~④の条項が入った契約は無効となります!」

① 事業者の損害賠償責任を免除したり制限する条項
② 不当に高額な解約損料
③ 不当に高額な遅延損害金 (年14.6%以上)
④ 信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する条項

具体的な例
・ 「いかなる理由があっても、一切の責任を負いません」とする条項
・ 不当に高いキャンセル料を定める条項
・ 「いかなる場合も、一切解約には応じません」とする条項

「契約」とは、お互いの約束を意味します。契約をしようとする者がお互いの契約について同じ認識を持ち、納得のうえで契約をした場合には、その契約は守らなければならないのが、社会のルールです。でも、言葉巧みに勧誘されて、考える間もなく契約を迫られたりした場合には、このルールは当てはまりません。冷静に考える期間を与えて、契約の解除や申込みの取り消しができる方法があるのです。
これをクーリング・オフと言います。悪質商法のターゲットになって、うっかり不要な契約をさせられても、泣き寝入りしないで法律を使って解決いたしましょう。
クーリング・オフと呼ばれる制度は、販売会社との間で結んだ契約を、あなたが一方的に解除できる権利です。いくつかの条件に当てはまる場合にのみ利用できます。
突然自宅に現れた電話機や医療機器の訪問販売、電話やキャッチセールスによる英会話教室やエステの契約、マルチ商法による水や貴金属の販売などのケースでは、クーリング・オフが可能です。クーリング・オフができない場合でも、民法や消費者契約法など他の法律の規定を使って解決できる場合もあります。その場合は、クーリング・オフと比べれば解決までに、時には裁判など起こし、お金や時間がかかることもあるでしょう。
そんなときは、ひとりで悩まずに、町の法律家である当事務所に是非ご相談ください。

【Q&A コーナー】

(質問1)

5日前に住宅リフォームの営業マンが自宅に飛び込みできて、最初は相手をするつもりがなかったのですが、相手のセールストークに乗せられて結局、リフォーム工事の契約をしてしまいました。今になってやっぱり止めたいと思うのですがどうにかならないでしょうか?


(質問1の回答)
特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」といいます。)では、訪問販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引(マルチ商法)・特定継続的役務提供取引(サービス取引)及び業務提供誘引販売取引(内職商法)の5つの取引形態につき、これらの取引に該当する場合は一定の要件の下、クーリングオフを行使して契約を一方的に解除することができる旨が定められています。また、それ以外にもゴルフ会員権契約や海外先物取引・預託取引等にも法律上クーリングオフ制度が設けられています。
本件の場合は特定商取引法で規定する訪問販売に該当すると思われますので、法で定める要件を満たしていれば契約書を受け取り、代金を支払っていたとしても、クーリングオフによって契約を解除することができると思われます。

(質問2)

クーリングオフはどのように行えばいいのでしょうか?


(質問2の回答)

クーリングオフの意思表示は、相手方に対して「書面」をもって伝える方法により行う必要がある旨が法律上規定されています。例外的に口頭で伝えた場合でもクーリングオフを認めた裁判例も存在しますが、後日紛争になった場合に備えて証拠を残す必要がありますので、原則どおり、クーリングオフを行使する旨を記載した「書面」を相手方に送付する方法で行う必要があります。なお、「書面」であれば手紙でもハガキでも可能ですが、明確な証拠を残すという観点から、配達証明付内容証明郵便にて発送する方法が一番望ましいと言えます。

ただし、クーリングオフは法が定める一定期間内に行う必要があり、その期間を経過してしまうと原則としてクーリングオフを行うことができなくなってしまいますので注意が必要です。例えば、特定商取引法で規定する取引のうち、訪問販売・電話勧誘販売及び特定継続的役務提供取引については、契約書等の法定書面を業者から受領した日から「8日以内」、連鎖販売取引及び業務提供誘引販売取引については、法定書面の受領日から「20日以内」にクーリングオフの通知を相手方に発信しなければならないと定められています。なお、一定の期間内に「発信」すればよいので、期間内に発信した後、相手方に書面が到達した時点で期間を経過していたとしてもクーリングオフの行使は有効ということになります。

(質問3)

訪問販売で締結した住宅リフォーム工事の契約を解除しようとクーリングオフの通知を送ったところ、「もう工事に取りかかっているから解除できない。どうしても解除したいなら違約金を支払ってもらう。」と言われてしまいました。業者の言っていることは正しいのでしょうか?


(質問3の回答)
クーリングオフは「無理由・無条件」で契約を解除することができる権利ですので、法が定める要件を満たしていれば一方的に契約を解除することができます。そして、契約解除の結果、双方に原状回復義務(契約締結前の状態に戻す義務)が発生しますが、特定商取引法では消費者保護の趣旨を徹底するため、原状回復に要する費用の一切は業者側の負担と規定されています。したがって、業者は既に代金を受領していた場合はそれを消費者に返還する必要があるのはもちろんのこと、消費者が返還すべき商品がある場合はその返還に要する費用、土地や建物などの工作物に加えられた変更を元に戻す場合はその費用をも負担する必要があります。
また、消費者保護の趣旨を徹底するため、クーリングオフの行使により契約が解除された場合においては、業者はそれに伴う損害賠償や違約金の支払いを請求できないと規定されています。
よって本件の場合、既に業者が契約に基づいてリフォーム工事に着手していたとしても、要件を満たしていれば消費者としてはクーリングオフの行使により契約を解除することができますし、業者は何ら違約金や損害賠償を請求できないことになります。また、工事の結果建物の現状に変更を加えた場合、消費者からの請求があれば業者の負担においてそれを元に戻さなければなりません。

(質問4)

数ヶ月前からエステサロンに通っています。契約期間はまだ半年以上残っていますが、自分には合わないようなので途中で止めたいと思っています。何か問題はあるでしょうか?


(質問4の回答)

特定商取引法では、エステ・外国語会話教室・学習塾・家庭教師・パソコン教室及び結婚相手紹介サービスの6つの取引のうち、期間が2ヶ月を超え(エステは1ヶ月以上)かつ、契約金額が5万円を超えるものを特定継続的役務として規定しています。これら特定継続的役務の特徴としては、実際にやってみないと効果が分からないということと、契約期間が長期に及ぶということがあります。したがって、契約締結後に何回かサービスを受けた頃にはクーリングオフの行使期間が経過しており、契約から抜け出せなくなってしまうことが考えられます。そこで特定商取引法は、特定継続的役務提供取引についてクーリングオフ行使期間経過後における消費者からの中途解約権を認めています。この中途解約権を行使すれば、クーリングオフ期間経過後であっても消費者からの一方的意思表示によって契約を解除することができることになります。

ただし、中途解約権の行使による契約の解除は将来に向かって効力を生じますので、クーリングオフを行使した場合とは違って、それまでに受けたサービスの代金を支払う必要は生じます。なお、業者との契約において、中途解約した場合の損害金や違約金の額が定められていたとしても、損害金や違約金の額については特定商取引法でその上限が規定されていますので、業者はこれを超える金額を請求することができません。

また、エステなど継続的サービスの提供契約を結んだ際に、化粧品や健康食品など、そのサービスに関連する商品を購入していた場合はその商品購入契約についても中途解約権を行使して解除することができます。

以上のとおり、特定継続的役務提供取引の場合はクーリングオフ行使期間経過後であっても中途解約により契約を解除することができ、その際に業者が請求できる損害金の額は法律によって制限されているということに留意する必要があります。

(質問5) 

最近通い出したスポーツクラブの契約書には「当施設において発生した事故・盗難等については、当施設は一切の責任を負いません。」という条項が記載されていますが、その場合、やはり施設側に責任を問うことはできないのでしょうか?


(質問5の回答)

契約の一方当事者がその契約で定めた債務を履行せずに相手方に損害を与えた場合、又は、故意過失によって他人の権利や利益を侵害し損害を与えた場合、民法上、前者においては債務不履行責任を、後者においては不法行為責任をそれぞれ負うことになります。そこで、事業者が消費者と契約を結ぶ際、事業者についてこれらの責任を免除する特約を設けることの可否が問題になりますが、この点については、消費者契約法の適用を考える必要があります。

消費者契約法は、消費者の利益の保護を目的とした法律ですが、その中には、事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効について定めた規定があります。具体的には「事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項」、「事業者の故意又は重大な過失による債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項」、「消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項」及び「消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の故意又は重大な過失による不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項」については無効と規定されています。つまり、事業者の落ち度により債務不履行責任や不法行為責任が発生した場合でも事業者が全く責任を負わないとする特約や事業者の故意又は重大な過失によって生じた責任であっても、その一部についてのみ責任を負うといった特約は無効ということになります。

したがって、本件の場合においても、施設は一切の責任を負わない旨の特約があったとしても、施設側に落ち度がある場合は施設はそれによって生じた責任を免れることはできないということになります。

(質問6)

人気のある結婚式場で式を挙げたいと思い、結婚式の1年前に申し込んで契約しましたが、その1か月後に事情により解約することになりました。ところが、解約する場合は解約料として代金の80%を支払わなければならないと契約書に書いてあると言われました。契約で決まっているということは、絶対に払わなければならないのでしょうか?


(質問6の回答)

消費者と事業者との間の契約においては、消費者が契約を解除した場合に高額の損害賠償等を支払う義務を定めている例がみられます。そこで、このように消費者に対して不当な金銭的負担を強いる条項による被害から消費者を保護するため、消費者契約法においては、消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効について定める規定が設けられています。

この規定によれば、契約の解除に伴い予定された損害賠償や違約金の合計額が、同種の契約が解除された場合に事業者において発生する平均的な損害の額を超える場合は、その超える部分については無効になることになります。

また、消費者が契約に基づいて金銭の支払い義務を負っている場合で、その支払いを遅延した際の損害金として契約に定められた額が、実際に支払わなければならない金額の年14.6%の割合相当額を超える場合は、その超える部分についても無効となります。

さて、本件の場合は、契約を解約した際に事業者において発生する損害の額が問題になりますが、解約時期が式を挙げる10か月以上も前ということで、式に向けての準備もそれほど進んでおらず、事業者においては新たな顧客が現れることも十分に期待できると考えられますので、少なくとも代金の80%相当額の損害を受けるとは考えにくいと思います。したがって、事業者における「平均的な損害額」がいくらになるかという問題はありますが、その額を超える解約料については、たとえ契約に定めがあったとしても、消費者において支払う義務はないということになります。

 

 

 

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