譲渡制限株式
譲渡制限株式とは、株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう(会社法2条17号)。 また、普通株は譲渡制限がない会社において、特定の株式にのみこの譲渡制限を付した種類株を発行するケースもある。このような種類株も「譲渡制限株式」と通称される。
公開会社
公開会社とは、通常、東京証券取引所などの証券市場で株式公開している会社のことを指す。 ただし、会社法での公開会社とは、意味が異なり、「その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社」と定めている(会社法2条5号)。種類株を発行している会社(種類株式発行会社)で、一部の種類株にのみ譲渡制限を付した場合でも、公開会社となる。
株主総会
株主総会とは、株式会社の最高意思決定機関であり、原則として会社法等に定めるあらゆる事項に関する決議権限を持つ機関である(会社法295条)。 取締役会設置会社の場合、会社法で株主総会の決議事項としている事項及び定款に定めた事項についての意思決定権限を持つこととなり、取締役会非設置会社の場合、あらゆる事項の意思決定権限を持つこととなる。 株主総会は、毎事業年度の終了後に行われる定時株主総会と、臨時に行われる臨時株主総会がある。 議決権の3%以上を6ヶ月前から保有している株主は、取締役に対し、株主総会の招集を請求することができる。
検査役
検査役とは、会社の変態設立での設立中に設置され、出資される財産等を検査する機関。 裁判所により選任され、裁判所はその検査役の調査に基づき財産の評価等に不当なものがあれば変更をする。
見せ金
見せ金とは、会社の設立にあたって、発起人が払込取扱機関以外の金融機関から借入を行い、これを払込金にあて、会社設立後ただちに払込金の引き出しを行って借入を返済すること。 預合の脱法行為として禁止されており、払込担保責任が生じる。
現物出資
現物出資とは、企業の株式を取得するにあたり、現金で出資を行うのではなく物品によって出資を行うもの。 現物出資を行う場合、資本充実の原則に基づき、取得する株式の価値に見合う出資であることを確認するために、裁判所の任命する検査役の検査もしくは公認会計士や不動産鑑定士等の証明書が必要となります。 但し、500万円以下、または資本金の5分の1以下の財産の場合、市場価格のある有価証券を市場価格を超えない価格で出資する場合、不動産鑑定士の鑑定評価など専門家による適正な評価が与えられている財産の出資の場合は、検査役の調査を必要としない(会社法33条10項1号、207条9項5号)。 無過失の現物出資者が事後的に責任を問われる場合には、出資の取消権が認められることになった(会社法212条2項)。
公開会社
公開会社とは、通常、東京証券取引所などの証券市場で株式公開している会社のことを指す。 ただし、会社法での公開会社とは、意味が異なり、「その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社」と定めている(会社法2条5号)。 種類株を発行している会社(種類株式発行会社)で、一部の種類株にのみ譲渡制限を付した場合でも、公開会社となる。
持分会社
持分会社とは、合資会社、合名会社、合同会社の総称。 2006年の会社法の施行に伴い、合資会社、合名会社、合同会社を持分会社と総称し、共通に適用すべき規定(社員は、他の社員全員の承諾が無ければその持分を譲渡できない等)を定めている。
合資会社
合資会社とは、わが国における会社形態のひとつで、経営を担う出資者と出資を行い経営も担う出資者に経営を委任する出資者とから構成される会社のこと。 経営を担う出資者は、無限責任社員と呼ばれ、無限連帯責任を負う。一方経営を委任する出資者は、有限責任社員と呼ばれ、有限責任しか負わない。略称として、会社名の前か後に (資) と付される。
合同会社
合同会社とは、2006年施行の新会社法で導入された新たな会社形態のこと。日本版LLCとも呼ばれる。 LLCとは、有限責任事業会社のことで、所有と経営を分離しないながらも株式会社のように出資者が有限責任しか負わない組合形態のこと(有限責任の人的会社)。 株式会社と異なり、強行規定が少なく、広く定款自治に委ねられている。
合名会社
合名会社とは、わが国における会社形態のひとつで、出資者が経営を担う会社形態のこと。 所有と経営を分離しないことから、個人事業主とほとんど変らない会社。出資者は全員無限連帯責任を負う。略称として、会社名の前か後に (名) と付される。
財産引受
財産引受とは、会社設立にあたって、発起人が会社のため、会社の成立を条件として特定の財産を譲り受ける契約のこと。 会社の設立後に所定の条件で財産を譲り受けることを認めると、設立時の現物出資の厳格な検査を潜脱することができるため、財産引受についても裁判所の任命する検査役の検査などを必要としている。
絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載が必要な事項のこと。 絶対的記載事項の記載を欠くと定款自体が無効となる。
定款
定款とは、会社法の求めに応じて会社(株主)が設定する会社経営上の基本的なルールのこと。会社の憲法的存在と言える。 定款には、事業の目的や、商号、本店所在地、授権資本などが記載され、その内容を変更するには株主総会の特別決議が必要。 定款の記載事項は、その必要性によって、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項に分類される。 2006年5月より施行された会社法では、”定款による自治”を根幹としているため、定款の重要性は以前に比して一層増しているといえる。
定款認証
認証とは、一定の行為が正当な手続によりされたことを公の機関が証明すること。記載内容を明確にし、将来の紛争を防ぐために設けられている。 定款の認証は、公証人の権限とされている。株式会社などの社団法人の定款は公証人の認証が効力要件である。
発起人
発起人とは、株式会社の設立にあたって、定款の作成、株主の募集、株式の割り当て、株式の払込、設立登記に関する事務手続等の業務を行う者のこと。 定款に署名を行うことで、発起人と位置づけられる。 発起人は、1990年の商法改正により、一人でも認められることとなった。
発起人設立
発起設立とは、会社設立の形態を示す言葉で、設立に際して発行する株式総数を発起人がすべて引き受けて会社を設立させる方法のこと。 会社の設立には、この発起設立と募集設立の2つの方法がある。 一般に、発起設立の方が活用される例が多い。 平成2年の商法改正により、それまで必要であった裁判所選任の検査役調査が不要となり、設立手続きが大幅に簡素化された。
発行可能株式総数
発行可能株式総数とは、株式会社が発行することができる株式総数のこと。 授権株式数と同義。 2001年商法改正により、譲渡制限会社については、発行可能株式総数の4分の1以上の株式の発行を要する(4倍規制)という規制がなくなった。
発行済株式総数
発行済株式総数とは、授権資本のうち、実際に発行している株式の総数を言う。 発行済株式総数の計算には、自己株式は含まれないが、単位未満株式は含まれる。
変態設立事項
変態設立事項とは、会社の設立に際して、現物出資を行う場合など定款に記載するとともに、原則として裁判所に選任された検査役の検査を受けなければならない事項のこと。 現物出資以外に、財産の引受け、発起人の受けるべき特別の利益、報酬についての定款上の定めなどが変態設立事項にあたる。 なお、定款に記載しなければその効力を発しない(会社法28条)。 1) 現物出資 2) 事後設立 3) 発起人の報酬 4) 会社の負担する設立に関する費用 変態設立事項は、会社の財産に影響を及ぼし債権者等の利益を害する恐れがある事項として、原則として、裁判所の選任した検査役の調査を受けなければならない。
募集設立
募集設立とは、会社設立の形態を示す言葉で、設立に際して発行する株式総数のうち一部を発起人が引受け、残余については他から引受人を募集して会社を設立させる方法のこと。 複雑設立、順次設立と呼ばれることもある。 会社の設立には、この募集設立と発起設立の2つの方法がある。 なお、募集には、特定の賛同者や縁故者のみに対して行う非公募募集(縁故募集)と、一般に募集を行う公募募集(一般募集)の2つの形態がある。
有限会社
有限会社とは、わが国における会社形態のひとつで、株式を発行しないまでも出資を募り、出資者により委任された経営者が実際の経営を担う会社形態のこと。 ただし、株式会社と異なり、有限会社は基本的に出資者が経営者となることや、限られた員数の出資者しか募らない小規模の事業体を志向している。 平成18年施行の会社法により、株式会社に一本化されることとなった。(会社法施行前の有限会社はそのまま有限会社として存続することができる) 有限会社の廃止に伴い、譲渡制限株式会社に、従来の有限会社型の機関設計を採用することができることとなっている。
有限責任
有限責任とは、出資対象の団体や法人が多額の債務を抱えるなどして破綻、倒産しても、出資者は出資金額の回収を全額あきらめなければならないことはあっても、それ以上追加で負担を求められる責任はないとするもの。 出資金額までの責任負担であることから、有限責任と呼ばれる。株式会社の株主、有限会社の社員、合資会社の有限責任社員は有限責任しか負わない。 有限責任社員だけで構成される法人(株式会社、有限会社)は、所有と経営の分離がなされている。
株券不発行制度
株券不発行制度とは、株券を廃止し、振替決済機関における口座管理簿への記載を株主権の根拠とする制度。 2009年6月までの政令で定める日をもって、全国の上場会社が、一斉に株券不発行に移行することになっている。 これに歩調を合わせるべく、会社法では定款に定めのある会社のみが株券を発行しなければならないこととした(会社法214条)。 また、株式譲渡制限会社においてはこの定款の定めがあっても、株主からの請求があるまで株券の発行をしないことが許されている(会社法215条4項)。
|